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  • 洸雅 東山

Practice!2 リスト:超絶技巧練習曲集②

第3曲:風景(Paysage)


8分音符の音型が途切れることなく流れ続け、個人的には穏やかな田園風景が思い起こされます。タイトルのPaysageは元来「田舎」という意味を持つそうな。

テクニックの点では保続音、重音のレガート、さらに対位法的なテクスチャの処理に重点が置かれています。ゆっくりとしたテンポ、曲調も大半の部分はdolceで、ショパンの「別れの曲」のような位置づけ?保続音を伴いながら3度の重音をレガートで弾く左手の音型はなかなかに難しい・・・ペダルに頼りすぎるとこの曲のシンプルな魅力が失われてしまいそう。響きの点ではシューマンに近いものが感じられて、リストのあまり典型的でない一面が表れた曲として興味を引かれます。


第4曲:マゼッパ


曲集の中でも難曲として知られています。大学時代ある先輩が十八番としてよく演奏されていたので、敬意を込めてマゼッパ様とお呼びしていました。曲として何を聴かせたいか(魅せたいか)がとても分かりやすいし、演奏効果も抜群ですが、弾くだけでも難しいし、そもそもヴィルトゥオーゾタイプの方が弾かないと様にならない曲だと思います。

テーマが何度も変奏されて登場しますが、個人的に一番難しく感じるのは1回目。内声の数が増えるとすべての音を把握するのが大変ということもあり、手の交差からの両手跳躍がしんどいということもあり。Henle版ではメロディーの音に跳躍する直前の左手の指使いが「24 24(24 13ではなく)」となっていて、「手の交差時にはなるべく1を使わない」という原則にも適っていますが、実際慣れるとこの方が弾きやすい。

それにしても、この時期のリストは減七和音大好きだったんでしょうか?曲集を通してみても相当多用されているように感じますが、特にこのマゼッパは減七和音のオンパレードという印象です。標題(ユゴーの詩)と関係して、何か象徴的な意味が・・・?


続く予定です。読んで頂きありがとうございました!

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